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密会
第12章 🌹March🌹(終章)-3




「私はお前に1年片想いをしていた。仕事熱心でひたむきに努力をする姿と謙虚で優しさに溢れた性格に惚れた。日頃の労をねぎらうという名目で食事に誘い、口説き落としたいと数え切れぬ程思ったが、実行に移せなかった。私より一回り下のお前は若くて綺麗で、私では不釣り合いだと思ったからだ。墓場まで持っていこうと決心していたが、校内で手淫に耽るお前の姿を見た瞬間、やはり身体だけでもお前を手に入れたいと強く思った。私利私欲に走った私は、その愚かな本心を隠す為にお前に婚約者と同等の存在がいると仄めかし、低俗な人間を演じた。執着する前に早々に関係を終わらせるつもりだったが、いつの間にか婚約指輪を買う程、私はお前に入れ込んでいた。最後は強欲ゆえに自ら破滅の道を選び、哀れな男に成り下がった。情けない話だが、これが全てだ。美月。」


懺悔するような重々しい口調で、かつ澱みなく彼は全てを告白した。
そして自嘲の笑みを浮かべると、引き出しの中に仕舞われたエンゲージリングケースを手に取った。



焦燥感に駆られた彼女は慌てて口を開いた。





「私、貴方の未来の婚約者が羨ましかった。その女性がいる限り、私は2番目でしかないから。本命にはなれないから。だから、今凄く嬉しいの。だからその婚約指輪だって欲しいの。黎一さん、私「美月、ありがとう。最後まで優しい嘘を、気付かぬ振りをしてくれてありがとう。だがもういい。お前が私にそこまで付き合う必要性は無い。今まで世話をかけたな、美月。すまなかった。」


日比谷教頭は美月の言葉を遮ると、やはり視線を一切彼女へ向ける事なく、諦念の笑みを口元に浮かべた。


今すぐに誤解を解かないといけない。


貴方の勘違いだと指摘しないといけない。


なのに何も...彼の心を揺るがす言葉が思いつかない。


いつも私は肝心な時に、何も言えない。



圧迫されるような胸の痛みを感じながら、美月の喉はカラカラに乾いていった。


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