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義娘のつぼみ〜背徳の誘い〜
第4章 突然の悲劇
茉由は無意識に、英語のノートにシャープペンシルの芯を走らせた。
『楠本茉由』
(うん、なかなかいい名前だ。漢字の見た目も、バランスが取れててなんだかいい)
続けてひらがなとカタカナでも書いた。
『くすもとまゆ』『クスモトマユ』
(悪くない。可愛い感じもする。そうだ、ローマ字にもしてみよう)
『Mayu Kusumoto』
(うんうん。イニシャルはM・K。フフ、いいかも)
茉由はふと、横の窓に目を向ける。外が薄暗く、教室内は照明を点けているため、窓には教室内が鏡のように映っていた。茉由の目の前には、当然彼女自身の顔が映っている。窓に映る茉由は、口元がニヤけていた。途端に、彼女は我に返る。
その時だった。教室の外で、廊下をバタバタと走る足音が迫る。いったい何ごとかと、英語教師を始め、生徒一同が扉に目を向けた。
扉がガラリと音を立てて開くと、年配の女性教師が慌てて飛び込んできた。
「設楽さん! 設楽茉由さんはいますか?」
彼女は声を荒らげて、茉由を探した。
「……先生、どうしたんですか?」
授業中の英語教師が尋ねるが、教室内を見回す彼女の耳には入っていない。
「はい、わたしです……」
茉由が挙手して立ち上がると、女性教師はズカズカと一目散に彼女の元へ近づいてきた。
「設楽さん、急いで帰る準備をしなさい」
「え? どうして……」
女性教師は両手を茉由の肩に添え、
「ついさっき、お父さんから学校宛に連絡があったの」
と、事情を説明する。
「お母さんが、あなたのお母さんが、交通事故に遭ったって」
「――え?」
「それで、お父さん、今こっちに向かってるそうだから、急いで」
茉由はその教師がなにを言っているのか、にわかには理解できなかった。彼女はなにも言葉にできず、ただ呆然と立ち尽くすだけだった。
『楠本茉由』
(うん、なかなかいい名前だ。漢字の見た目も、バランスが取れててなんだかいい)
続けてひらがなとカタカナでも書いた。
『くすもとまゆ』『クスモトマユ』
(悪くない。可愛い感じもする。そうだ、ローマ字にもしてみよう)
『Mayu Kusumoto』
(うんうん。イニシャルはM・K。フフ、いいかも)
茉由はふと、横の窓に目を向ける。外が薄暗く、教室内は照明を点けているため、窓には教室内が鏡のように映っていた。茉由の目の前には、当然彼女自身の顔が映っている。窓に映る茉由は、口元がニヤけていた。途端に、彼女は我に返る。
その時だった。教室の外で、廊下をバタバタと走る足音が迫る。いったい何ごとかと、英語教師を始め、生徒一同が扉に目を向けた。
扉がガラリと音を立てて開くと、年配の女性教師が慌てて飛び込んできた。
「設楽さん! 設楽茉由さんはいますか?」
彼女は声を荒らげて、茉由を探した。
「……先生、どうしたんですか?」
授業中の英語教師が尋ねるが、教室内を見回す彼女の耳には入っていない。
「はい、わたしです……」
茉由が挙手して立ち上がると、女性教師はズカズカと一目散に彼女の元へ近づいてきた。
「設楽さん、急いで帰る準備をしなさい」
「え? どうして……」
女性教師は両手を茉由の肩に添え、
「ついさっき、お父さんから学校宛に連絡があったの」
と、事情を説明する。
「お母さんが、あなたのお母さんが、交通事故に遭ったって」
「――え?」
「それで、お父さん、今こっちに向かってるそうだから、急いで」
茉由はその教師がなにを言っているのか、にわかには理解できなかった。彼女はなにも言葉にできず、ただ呆然と立ち尽くすだけだった。