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狂愛の巣窟 〜crossing of love〜
第10章 【狂愛の巣窟〜ラスト・シーン〜】





「今回は俺が悪い……ごめん、お願いだから離れていかないで」




嘘よ………そんな取ってつけたような甘い言葉にもう騙されない。
もうあなたに抱かれないくらいなら覚悟するから最後の言葉を言ってよ。




「嘘つき…………嘘つきぃ……うぅっ」




弱々しい力で亨さんの胸を叩いた。
「ごめん」なんて言わないで。
あなたにそう言われたらそこで終わってしまう。
いつの間にかジャケットを肩に掛けてくれていた。
溢れる涙も拭ってくれる。




「俺の言った言葉忘れた?」




「え……?」




「俺が愛しているのは十和子だけだよ、それだけは何があっても変わらない……信じてくれないの?」




「うっ………だったら……何で抱いてくれないの?ダメだって言ったもん…っ」




「ごめん、ギリギリまで十和子を追い詰めたかった……最大の罰として苦しめた後に抱き潰したかった」




「うぅっ……はっ……ふぇ~ん…っ」




子供みたいに泣いた。
知らない、と遠ざけた。
泣き声だけが響いていて。
その間ずっと謝り続けた亨さんを。
嫌いになれなくて。
心底、良かったと思っている。




「許して、十和子、もう罰はおしまい、十和子を失うくらいなら俺は生きてる価値さえないよ」




「やめて!冗談でもそんなこと言わないで!」




「ほら、俺がそう言えば怒るだろ?俺も一緒だよ」




恐る恐る顔を上げた。
全部お見通しだった。
そうね、見てるもの。
私が、何をしていたか全部。




「とりあえずコレは破いておいた、一生ここにはサインしないよ、俺のものだから、十和子も十和子の人生も………捧げてくれただろ?どんな十和子でも俺にとっては最愛の人であり、添い遂げると誓ったはずだよ?」




引き出しに仕舞ったはずの離婚届はビリビリに破かれていた。




「………良いの?私、本当汚れてる」




「親父たちに抱かれたこと?他人とセックスしたこと?公認してても?まぁ、でも、俺より若い相手にハマられると嫉妬しちゃうかな」




あぁ、歪んでる。
そうさせたのは私。
こんなこと言わせたいわけじゃない。
決して詰めないあなたを傷付けてばかり居たのに。
捨てられて当然なのに。
それでも愛してくれるのは何故?







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