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狂愛の巣窟 〜crossing of love〜
第10章 【狂愛の巣窟〜ラスト・シーン〜】





大丈夫、あなた達を犯罪者にはさせない。
いつかそうなるんじゃないか、
そうなれば良いなと思い、
書き記した手紙がある。




--私が居なくなっても泣かないでください
幸せでした
ありがとうございます
全ては私の望んだことです
誰も責めないでください--




一人で逝く私を許して__________




スーッと楽になっていく。
次に目を開ければどんな世界が広がっているのだろう。
明るく眩しいのか、
それとも真っ暗闇に覆われているのか。




十和子………十和子……………




懐かしい声。
何度も呼ばれてる。
此処よ……此処に居るわ。
凄く眠いの。
目を開けたいけれど瞼が開かない。
少しだけ疲れたみたい。




「十和子!!」




凄く近い距離で叫ばれてフッと意識が戻った。
ゆっくり目を開けるとぼんやりした視界が徐々にクリアになっていく。




亨さん……………
私、亨さんに抱かれていたの?
ううん、そんなはずない。
あぁ、そうか。
死にそうになった私を助けに来てくれたのね。




「ごめんなさい………亨さん、ごめんなさ…」




フワリと抱き締められて、久しぶりに汗の匂いを含んだ亨さんの体臭に酷く安堵した。
涙が込み上がる。
大丈夫、あれほどのことで逝けなかったのはちゃんとわかってる。
全部、都合の良い妄想だということも。




わからない………
どうすれば亨さんが振り向いてくれるのか。




「もう良いから……すまなかった、十和子」




優しい言葉にまだ夢なんじゃないだろうかと錯覚してしまうほど。
力強く抱き締められて、まだ裸なことに後悔の念が押し寄せる。




「ごめんなさい……私また……お義父さまとお義兄さまに……」




「わかってる、もう良いから」




「良くないよ………怒ってよ、お前なんか最低だってちゃんと本音ぶつけてよ!」




ドンと押し退けたかったが力が入らず顔を上げただけ。
優しい笑顔で誤魔化さないで。
いつからそんな風に壁を作ったの?
要らなくなったんならはっきりそう言えば良いじゃない。
充分離婚要素にもなるし、証拠なんて全部揃ってるものね。
逆に慰謝料払わなきゃいけないくらい。








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