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狂愛の巣窟 〜crossing of love〜
第4章 【止まらない欲情に乱れて…】





「今日は帰ります、連絡待ってますから……僕のこと、忘れないでください」




従順なんだね、まだ縛られてたいの?
他の子に行かないの?
キミならすぐにでも彼女出来そうなのに。
こんな毒牙に引っかかっちゃって、私ならそう簡単に解毒してあげないよ?
自ら侵されていくの待ってるだなんて。




「うん……」




「そんな顔しないでください、笑ってる佐倉さんが好きですから」




あぁ、自分でも反吐が出そう。
こんな時の涙って何なの?
引き止めてるの?
自分でわからなくなってくる。
「ごめんね」って言ってる。
人妻でごめんねって意味?
一緒に居れなくて?
遊んじゃって?
キミのモノにはなれなくて?




「泣かないで……抱き締めたくなります」




そう言われて伝う涙を拭って見つめ合うけど、ポロポロと流れてくるの。
演技だから凄いでしょ。
こんな簡単に涙腺って緩めたり出来るんだ。




「ん………ごめん……行って?」




「どうしたら泣き止みますか?こんな状態で行けないです」




結局抱き締められて肩を震わせた。




「もう僕、困らせたりしませんから……」




「何にも応えてあげれなくてごめん…っ」




「こうして会ってくれるだけで充分です」




そうか、これを言わせたかったのか。
ようやく腑に落ちた。
自らの口で言わせる為。
卑劣な手口ね。
こうやって誰もかも繋ぎ止めてしまうのね。
私の泣き顔って余計に唆るらしい。
逆効果だって亨さんにも言われたことがある。




本気で嫌なら血も涙もないけれど。
キミはその範疇ではなかったみたい。
そう辿り着いてホッとしてる自分に若干引いている。
けど私は、また何度も繰り返すのだろう。
甘い蜜で翻弄して逃さない。




「次からはちゃんと返事するようにするけど、もしかしたら主人にバレそうになって既読すらつかなくなるかも……」




そう言って私から抱き着いた。
抱き締め返されて前髪にキスされる。




「だったら定期便で会えるじゃないですか、一目でも会えたらまた頑張れます」




「我慢させてばかりね」




「仕方ないです、僕が………勝手に惚れてるだけなんで」




「勝手に…?違う、私も和泉くんに救われてばかりなの、忘れないで」








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