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性神がこの世に放った獣たち~起
第5章 第一章閉幕
 申し訳ないのだが、この辺で休ませていただく。歳のせいにはしたくないが、私は少し疲れてしまった。動揺は今なお続き、私に安らぎを与えてくれない。実をいうと、私の眠りの中まで、忘れてしまいたいあの時の出来事が追いかけてくる。
 忌まわしい過去は、どうやら無力で意気地のない男を許してくれないようだ。困ったことに、どこまでも私に付きまとう。
 話せば話すほど、あの惨劇の記憶が鮮明になる。妻を見知らぬ誰かに抱かれたという事実を打ち消そうとしても、消そうとすればするほど真実が私を責める。それを真正面から受け止めることは、残念ながら今はできない。落ち着いて振り返ることなど不可能だが、それでも何かしら救いがあることを私は微かに願っている。
 私が今までお話ししたことに嘘はない。わざと何かを隠したとか、何かをつけ足して話したとか、そういうことは一切ない。信じてもらいたい。
 ただ、一つ言えることは、これまで話したことは惨劇の始まりに過ぎず、私にとっての本当の生き地獄はこれからだったということだ。その先の話……少しだけ時間を頂きたい、少しだけ。
 妻の中に他人のペニスが挿入されたことで、夫としてのプライドは獣たちに踏みにじられた。私は凌辱される妻をただ黙って見ているような情けない男なのだ。
 しかし、私は妻を見捨てたのではない。妻を置きざりにしてもいない。私と妻はあの時一心同体となったのだ。
 覆面をした四人の男たちの笑い声が聞こえる。獣たちは私から私の妻を寝取って、私を嘲笑しているのだ。あんたの奥さん犯ったぜ。あんたの奥さんおま×この味、俺たちも知っているぜ。あんた、俺たちの穴兄弟なんだぜ。
 四人の男たちに爪の垢ほども愛されることなく、妻の体は男たちの性処理の道具として扱われている。すでに二人分の白いドロドロした液体が、妻の膣の中に放たられた。これからさらに若い男二人の精液が、間違いなく妻のおま×このなかに発射される。それで終わりになるのか? 残念ながら私にはそんな気が全くしない。
 無能で役立たずの男は、ただそれを見ているだけ。いっそのこと狂人にでもなれば、一瞬でも現実から離れることができるだろうか? ならば私は進んで狂人になる。生涯自分を取り戻すことが出来なくても構わない。
 妻を犯されている現場に、ポツンと私が置かれている。
 
 
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