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北の軍服を着た天使
第2章 Episode 2


海外とのやり取りやら、オークションの入札やら忙しくしていたらあっと言う間にこんな時間になった。もう午後13時だ。インターホンが鳴ってから、全員打ち合わせの事を思い出したみたいで、そそくさと各々のデスクを片付けているのが妙に笑える。

「出てきますねー」

「あー。そのまま会議室通してくれー!」


そう言われた私は、軽く髪の毛を整えてからドアの鍵を開けた。
……軽く香る洋物っぽい香水。トムフォードかな?シャネルとかルイヴィトンの香りでは無さそうだった。

「あ、はじめまして〜」

「はじめまして、ウーファ株式会社の副社長をしております李と申します。」

「リさん、ですね。お願いします。どうぞどうぞ、真夏だから暑かったですよね。時間ピッタリに有難う御座います。」

今日は──2020年8月15日。

こんな真夏に、こんなキッチリとスーツを着てくるなんて──そりゃあ暑いに決まってる。しかもネクタイまできちんと締めているし。もっと言うなら一分の遅れもなく事務所に到着するなんて。

「流川、お前も通訳がてら同席してくれよ」

「はい!」

社長が会議室前でお相手と握手を交わすのを見守ってから、二人分の冷たい緑茶をグラスに注いだ。




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