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濡花 ~義理の父親に堕とされていく若妻~
第8章 温泉旅館~本章~
また厭らしく触りながら食事でもされたらどうしようと花怜は不安に思っていた。

運ばれてくる天婦羅や和牛の焼き物…椀物などどれも美味しくて…義父も上機嫌でお酒と料理を楽しんでいる様子だった。

【ここは家じゃないもの…お義父さんだって中居さんの出入りがあるんだから何もできるはずないのよ…】

花怜も、どこかで身構えがらも…義父へお酌をしたり、配膳中の中居さんと言葉を交わしたりと、少しずつ緊張を解き夕食を楽しんでいった。

「お料理はお運びしたもので最後となります…。お食事をお持ちしてよろしいですか…」

中居がそう言うと…

「やぁ…どれも美味しくてお腹いっぱいだよ…なぁ…花怜さん…。この冷酒もほんとに美味しいね…。食事を持ってくる時にもう一本頼めるかい…」

「はい、ほんとに美味しくて、ついつい食べ過ぎてしまいました…。もうご飯は食べれないかもしれません…」

「ありがとうございます…板長に伝えさせていただきますね…。あ、よろしければおにぎりにしてお持ちしましょうか?…お夜食にしていただいてもかまいませんから…」

「それがいいね…私はもう少し飲みたいからね…」

花怜も義父の言葉に同意するように顔を綻ばせた。

中居が部屋の襖の外に出ると義父が席を立った。
花怜はお手洗いでも行くのかと特に気にも止めず、浴衣に乱れがないかと確認する。
浴衣の衿元を整え直してまだ残っている料理に舌鼓を打っていく。

卓司は中居を追いかけるように席を立つと、背後で襖をそっと閉めた。
小声で中居に話しかける。

「すまないが、おにぎりと冷酒を持ってきたらこちらが連絡するまで下げに来なくていいから…」

中居は何か訳ありな組み合わせだとは思っていた。
卓司の言葉に人の良さそうな笑顔をしたり顔へと変えていく。

卓司は一万円札を折り畳み中居の懐に偲ばせた。

「はい、わかりました…このフロアの内線は私が出ますのでお任せください…」

「話が早くて助かるよ…」

花怜に聞こえないようにひっそりと、二人は示し併せたように笑みを交わし、中居は部屋を出ていく。

「お義父さん、まだ飲まれますよね…さ、どうぞ…」

花怜は戻ってきた義父にそう話しかけると、冷酒を硝子のお猪口に注いでいく。

【このまま、気持ちよく眠ってくれたらいいのに…】

そんな淡い期待を抱くようにお酌をしていった。






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