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濡花 ~義理の父親に堕とされていく若妻~
第8章 温泉旅館~本章~
「はい…でも、浴衣が……」

お酒や唾液にまみれた浴衣など着れるはずもない。

「いらないだろ…」

身体を拭いた義父がそう言って鏡台の鏡の中に入ってくる。
厭らしく腰を撫で回して、後ろに引き寄せようとする。

「待って、お義父さん…待ってください……」

花怜は引き寄せられることに抗うように振り返った。

「おいおい、まさか本気でもう終わりだなんて言うつもりかい?…私はまだ満足していないと言っただろう…」

花怜も今さら逃げようなどとは思っていなかった。

「聞いて、聞いて…ください……」

卓司は花怜の華奢な腰を抱き寄せようとして、花怜の言葉に動きを止める。

「なんだい…花怜だってもっとしたいんだろう…」

自分の女にしたような口ぶりの義父を恨めしそうに睨んで…

「そういう言い方…嫌いです……お義父さん…ほんとに聞いてください…」

卓司はやれやれと言った表情を浮かべていた。

花怜は言い難そうに口を開いていく。

「あの…………お義父さん……」

「なんだい?…」

「昨日のお義父さんは大嫌いでした……ずっとほんとの父親のように慕っていたのに……あんなことして……私…凄く恐かったです…」

「ああでもしないと受け入れてくれないだろ…。今も恐いのかい…」

花怜は首を横に振る。

「いけないことなんですよ……ほんとに…。でも、お義父さんの言った通り……私、なんにも知りませんでした……」

「まだ始まったばかりと言っただろう…」

花怜はまた首を横に振った。

「お義父さん……お義父さんのその……すごくて……私だって……」

口ごもって、なかなか言葉が続かない。

「だから……この旅館で一緒にいる間……私……逃げませんから……お義父さんが満足してくれるまで……だから……だから……明日……お家に戻ったら……今まで通りの関係に戻りたいんです……」

花怜はまっすぐに義父を見つめて続けていく。

「もう忘れてなんて言いません……私だって忘れられないです……だから、今夜のこと…思い出にしてくれませんか……。私…お義父さんのこと大好きなんですよ……でも孝一さんのことだって……お義母さんのことだって大好きなんです……わかってもらえませんか……」

花怜はまくし立てるように義父に想いをぶつけていった。

卓司はそっと花怜の頬に手を伸ばして、穏やかに笑みを浮かべていく。
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