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恍惚の日々
第4章 誓約書
この三日間、ずっと中途半端な状態におかれ続けていたかなえにとって、今の言葉はとどめだった。


一目惚れしてから、桐谷を密かに思い続けていたかなえ。

優しい微笑み、真剣な眼差し、スマートな立ち居振る舞い、それはどれひとつ取ってもかなえを魅了した。
例え、未知の性域でどうなろうとも、付いていきたい!寵愛されたい!と、強く思う心と躯はもう止めようは無かった。



「かなえ、ここに正座をしなさい。三日目の回答を聞こう。」


「はい。」

桐谷の前に正座すると、かなえは桐谷の目を見据え、小さいながらもハッキリと言った。


「淳之介さまの所有物になります。」


「よし。よく言った。しかしだ。あの額の中に入るような女になってはだめだ。それが何を意味し、どんな道になるか。耐えられる覚悟はあるか?」

「耐えられるかどうかわかりません。覚悟はついたつもりです。」

「正しい答えだな(笑)わからないものをわかると言い、覚悟があると言いながら口先だけ、というのはよくある話だ。」

「はい。」

「安心しなさい。愛情は存分に注ぐ。6年近くお前を待っていた。本心だ。」

「ありがとうございます、淳之介さま。」

かなえの緊張は未だ解けずにいたが、桐谷は一枚の紙を持ってきた。



誓約書

わたくし、織本かなえは、如何なることにも従い、これを悦びとし、忠誠を誓います。

背くようなことがありましたら、何なりの懲罰も甘んじてお受け致します。また、主様の意に著しく反したと認められた場合、廃棄されても異論は申し立てません。


「サインしなさい。」

「はい、淳之介さま。」





誓約書に署名、血判を押して、額に入れられると、玄関ホールの裸婦画の隣に掛けられた。





桐谷淳之介所有、かなえスレイブの誕生であった。





もう…引き返せない………


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