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第1章 準備

　東京23区のある銀行の本店から10億円の廃棄1万円札が大蔵省造幣局へ輸送されようとしていた.
　輸送を担当する運送会社のドライバーと助手が ちょうど乗りこんだ そのとき 突然 警察官がドライバー側のウインドウを叩いた.
「いま 本庁から連絡がありまして テロ事件が起きているとのことで 車両を調べるように通達がありました. 担当の技官が来ていますので 車両から降りていただけますか」
　警察官があまり自然に話すので ドライバーと助手は車からおりた.
　その刹那 警察官はするりと車に乗りこみ 走り去った.
　あっけにとられた運送会社の社員は しばらく呆然としていたが とにかく事実を銀行に告げた．
　銀行では警察に問い合わせたりして事実確認にてまどり 現金が強奪された事実が警察に認識され 管内配備が通達され行なわれるまでに時間がかかっていた．
　やっと管内配備が行なわれた時 かの警察官は 都内の大きな神社の近くにある住宅のガレージにいて ナンバープレートを偽造ナンバーにかえ 現金輸送車の特長を隠す偽装をおこなっていた．
　偽装がおわると彼は警察官の制服を脱ぎ ジーンズとポロシャツに着替え紙袋に制服を入れると ガレージをでて住宅のなかに入った．
　居間のカウチにすわりテレビをつけた．
　警察はすでに現金強奪事件をマスコミに公表していてアナウンサーが原稿を見ながら事件を報道している．
　彼の名は東條怜治《とうじょうれいじ》 慶應大学 経済学部を卒業したばかりの22才で 身長176センチ色白のどこからみても好青年とゆう感じだ．
　イケメンなどとヒトはすぐに言うが タレントなどで本当に良い顔と納得できるイケメンを見ないが 彼はヒトが振り返るような本物の美青年といって良い．