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濡華 ~妹、涼華の過去~
第1章 発端
ゲームセンターでプリクラ撮って、ファミレスやカラオケに入り浸る。
そんな毎日を送っていた。

今日は杏奈とそれにつるんだ友達数人でカラオケをしていた。

「えっ?…なにっ、よく聞こえない……」

杏奈に耳打ちされながら、大音量の曲にそう叫んでいた。
杏奈はリモコンを操作し、曲の途中で切ってしまう。
歌っていた友達は…ふざけんな…と文句を言っている。

「ねぇ…涼華、お小遣い足んなくない?…ファストフードなんていくらにもなんないでしょ……」

「なに…なんかいいバイトあんの?……」

杏奈は同い年とは思えない妖艶な笑みを浮かべていた。

「涼華…あんた処女だろ……」

その一言にはあんまり驚かなかった。
杏奈やここにいる連中が援をしていることは噂にもなっていたし、実際薄々気付いていたからだ。

【お誘いってわけね……】

「だったら?…誰か高く買ってくれるの……」

どこからか、口笛を吹く音が聞こえてきた。

杏奈の答えは予想と少し違っていた。

「そんな勿体ない捨てかたするなよ……」

「涼華…バドの顧問の芹沢のこと好きなんだろ……」

私は杏奈と付き合いを再開してから初めて心底驚いた。

【なんで?…誰にも言ったことないのに…ましてやなんで杏奈が知ってるの……】

「ふふ…なんで知ってるのって顔してるよ……。最初はすっごく痛いから、お金なんて貰えないよ……だから最初くらいは好きな相手として思い出にしなよ……」

「なに…杏奈ってそんなにロマンチストだったっけ……」

私と杏奈は顔を見合せ、吹き出していた。
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