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濡華 ~妹、涼華の過去~
第5章 終へのプロローグ
結婚式も披露宴も無事に終わった。
姉はずっと忙しくほとんど会話をせずに済んだ。
主役の二人は親族とゆっくりというわけにはいかないようだ。
それでも互いの両親はとても喜んでいるように思えた。
ただ、昨夜の会食の時にも相手方の義父には違和感を感じていた。
穏やかで豪快な印象の人だった。
姉に対しても義母同様に優しく接してくれている。
だが時折見せる、姉を視る視線が気になっていた。
この時はまだそれが意味することに気付くことはできなかった。

あの結婚式から月日が過ぎ、私も社会人になっていた。
姉が勤めたような一流企業ではないが、営業職に就いてOLをしている。
残念ながら唯一内定を貰ったのは奇しくも姉の住む街の会社だった。
今も実家には一度も帰っていない。
姉とも披露宴以来、口もきいていなかった。
私は相変わらず性に対しては奔放に生きている。
新入社員歓迎会の後、いきなり上司に抱かれたが不倫なんてめんどくさかったのでそれはそれきりだった。
今もセフレは絶賛募集中だった。

ある夏の午後、営業先から戻る混みあった電車の中で偶然姉を見かけた。
同じ街とはいえ都会で顔を会わせることなどないと思っていたが、姉が気づく前に背中を向けようと思った。
でもできなかった。
大柄な男性と向き合うように立っている姉は私の知っている姉じゃなかった。

【なんでそんな顔をこんなところでしてるの?…】

痴漢にあったなら声を出すような姉が蕩けた顔をしている。
姉の前に立っている男は誰だろうと思った。
電車が止まると男の顔が見えた。

【…あの人……お義父さんだ……】

結婚式での違和感を思い出していた。

【へぇ…お姉ちゃんがね……真面目に生きてるはずじゃなかったの……】

別の駅で電車を降りると会社へと向かいながら電話をかけた。

「あ、お母さん…。ねぇ、久しぶりに週末家に帰ってもいいかな……」

町並みはかなり変わっていて故郷という印象がなかった。
母は姉が結婚してから寂しかったのだろう。
実家に戻ると歓迎してくれた。
その夜は家族三人で食卓を囲んだ。

「ところでお姉ちゃんは幸せにやってるの?……」

母が少し困惑するように話をしてくれた。

「へぇ、お義兄さん単身赴任なんだ…お姉ちゃんはこっちじゃなくて、あっちの実家にお世話になってるんだ…ふーん……」

私は意味深な笑みを浮かべていた。
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