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梨果の父サイドストーリー
第8章 老爺たちの視姦
「ふう、これで全部か。」

ゴミの日に先日梨果と選定したいらなくなった衣服や使わなくなった物を出した。
ビニ本やその手の映像ソフトも宣言したとおり処分した。


「あら、小山田さん。」

ゴミ捨て場から立ち去ろうとした所で年配の女性から声をかけられた。振り返ると近所の浅井さんの奥様だった。

「浅井さん、おはようございます。」

「おはようございます。あの…今度の自治会の寄り合いの件なんですけど……」

すっかり忘れていた。現自治会長の田村さんがほぼ寝たきりになってしまったので会長の交代の話し合いが日曜日に行われるのだった。

「ああ、そうでしたね。その日は空けてあるので大丈夫ですよ。」

「それよりそのあとの懇親会の事なのですが……小山田さん、失礼ですがいま奥様は……?」

聞きづらそうな声色の浅井夫人。

「えっ?!……ああ、妻はちょっと体を壊して実家の方で療養していまして……すみません不参加です……」

「そ、そうでしたか。こちらこそ余計なことをお聞きしてすみません。」

寄り合いの後は必ず懇親会があり、そこで奥様衆が料理を支給するという古い風習があった。妻も毎度かり出されていたものだ。

「もしかして人手が足りませんか?」

「正直そうなんです。自治会も新しい住民が増えたとしても若い奥様方は参加したがらないのよね。」

「そうですか……」

(梨果に頼んでみるか……)

「わかりました。娘に頼んでみます。」

「えっ?梨果ちゃんですか?それは助かりますけど……」

語尾に“中学生に料理ができるの?”という心が読み取れた。

「料理の腕は保証しますよ。」

「あら本当?!それは頼もしいわ!」

浅井さんの奥様は嬉しそうに去っていった。
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