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最初の女
第2章 再会
東京に戻ってからも、ユカからはたまに僕の下宿に電話をかけてきた。
大体は他愛もない話だけだったけれど、一人暮らしの僕には嬉しかった。
そのうち、僕はユカからの電話を待つようになっていた。
たまにユカは「諦めてないよ、キミのこと。」と言った。
僕は心が揺れるの感じながら、ユカの言葉に応えることはなかった。
抱いてみたい、そんな下劣な思いをどこかに押し込めていた。

そして、その年の暮れ。
また天文部のみんなで集まった。
寒い中、お城の公園に集まった数十人でだるまさんが転んだに興じた。
大学生にもなって、と人は笑う。でも僕はそんなみんなが大好きだった。
いつまでもどこか子供で、無垢でいたかった僕にとって、居心地のよい空間だった。
無邪気で遊びに興じるみんながとにかく好きだった。

ひとしきり遊んだ後は居酒屋で大騒ぎ。
そして夜も更けてきた頃、ぼつぼつと家路に向かう人が出てくる。ユカもその一人だった。
「送ってってくれる?」
戸惑う僕を引っ張ってユカは店を出た。

僕たちはユカの家に向けて自転車を走らせる。
「ねぇ、ちょっと寄ってこうよ。」
ユカが通り沿いのハンバーガーショップに自転車を止めた。

刺すような寒さの外とは一転して、店内はとても暖かかった。
お腹もいっぱいだったので二人とも飲み物だけをオーダーして席についた。
不意にユカが僕の手を握った。
手を離すと、僕の手のひらには鍵。
僕はそれが何の鍵かすぐに理解した。
と同時に、僕は決心した。
後期試験が終わったら、東京にいくことを約束した。
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