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混沌の館
第14章 決断

携帯の向きが変わっている?
確か、私は二つ折りの携帯の開く方を自分の方に向けて置いていた。だが、それが逆向きに置いてあるのだ。
まさか、キャサリンが見たのか?いや、いくら恋人とはいえそんな事はしないだろう。自分の思い違いだろう。
千夏からのメールは、GWの家族旅行の事に触れられていた。東京まで家族で旅行するのだと楽しそうな様子が伺えた。彼女とのメールは心が和む。帰ってから返事を書こうと思い、携帯をテーブルの上に置き、身支度を始めた。そろそろ時間だ。
キャサリンが身支度を終えるのを待って私たちはホテルを後にした。
そのまま駅までキャサリンに送ってもらい、そこで別れた。彼女と二人きりで会うのはそれが最後になるとは、その時の私には、考えも及ばなかった。
GW、私は地元に戻り、キャサリンとの連絡を絶った。といってもGW期間だけという約束だった。その一方では私は千夏とのメールは続けていた。
千夏からは旅行の様子が送られ、私は、久しぶりの家族サービスの愚痴などを送った。相変わらず、彼女とのメールのやり取りは楽しい。私は、キャサリンのことはすっかり忘れていた。
だが・・・
GWが明けようやく通常の生活を取り戻したある日、千夏から悲痛なメール届いた。
私とキャサリンの中を確定的に気付いていて、キャサリンに遠慮して私とはもうメールしないという内容だった。
何時かはこんな時が来るのかもと思っていたが・・・私は動揺した。

