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混沌の館
第15章 千夏
 直ぐにキャサリンからも返事が届いた。

 彼女もこうなることは分かっていたのだろう。あっさりとしたものだった。


 これで、形式上はキャサリンと清算できた。その報告を今度は千夏にしなければならない。



 私は、キャサリンと別れたこと、そして改めて千夏への想いを込めたメールを送った。

 直ぐに千夏からもメールが返ってきた。既にキャサリンからも報告を受けた様で、複雑な気持ちが伝わってきた。



『わたし、ズルいよね』

『キャサリンさんに酷い事してしまった』


 彼女の立場からすれば当然の思いだろう。しかし、私は千夏を選んだのだ。


 罰は、私だけが受ければ良いと思っていたが、そうはいかなかった。

 あっさりと引き下がったと思われたキャサリンだが、やはり共通の友達には事の顛末は報告されていた様で、私と千夏は数名の友達を失う事になった。

 しかし、私たちにとって一番大切なのはお互いだった。もう他人の意志などで簡単に壊せないくらい、私たちの気持ちは固く結びついていた。



 季節は初夏から梅雨へと変わっていた。


 私は、千夏とは決して会えないだろうと思っていた。何せ遠距離恋愛だ。しかもお互いに既婚者のW不倫。二人が簡単に会うには悪条件が揃いすぎていた。


 付き合い始めた頃はそれでも良いと思っていた。



 しかし、お互いに相手への想いは膨らむ一方だった。





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