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混沌の館
第15章 千夏
 私の想像する千夏は、小柄で華奢な体型。髪は上品な明るいブラウンに染められたロング。そして何よりも笑顔が可愛い、どこかに少女の部分を残した、そんな女性像を描いていた。


 勿論、それは日々のメールや彼女のプロフィール、そして日記等から私が勝手に作り上げたイメージだ。だが、千夏はそのイメージ通りの女性の様な気がした。



 流線型の新幹線がホームに滑り込んでくる。私は5号車の位置に立ちそれをゆっくりと見守った。



 やがて、圧縮音と共にドアが開き、人が次々と降りてきた。


(白いカーディガン、白いカーディガン・・・)


 私は心の中で反芻しながら千夏を探した。


(いた!)



 私は、白いカーディガン・・・というより上着?をまとった一人の女性を発見した。
その女性もキョロキョロしている。


 しかし、千夏は30代後半のはずだが、その女性はどう見ても40代後半か50代といった感じだ。それに、スレンダーとは程遠い、がっちりとしたレスラーみたいな体格をしている。そして頭には、白い帽子、まるで高貴なお方が被る様なロイヤルハットを被っている。



 千夏は、裕福そうな生活は日記やメールから感じ取れたが、成金趣味があるのか?顔もジャイ子みたいで、私の趣味からは程遠かった。



 その女性も私に気付いたのか、私の方を見てニコッと笑うとこちらに歩いてきた。



 他に該当しそうな女性はいない。彼女が千夏なのだ。私の脳裡にケイコの悪夢がよみがえった。





 私は回れ右をした。その場から離れる為に。





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