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混沌の館
第6章 30代バツイチの美女

久美の部屋は、どこにでもあるような単身者用のワンルームだった。
家具は少なく、カラーボックスに小さなテーブル、テレビと簡易ベッド、大人二人がやっと座れる程のスペースしか残っていなかった。
女性の部屋に入るのなんて20年ぶりくらいだろうか?などと考えながら、久美の匂いで満たされた部屋の中で、コーヒーを飲みながら彼女の思惑を見定めようと思考を巡らせていた。
「わたし、この先どうなるんだろう?」
不意に発した久美の言葉に、私はドキッとした。
「このまま一人ではいられないだろうし、再婚は考えてないの?」
「親はもう頼れないから、出来れば誰か良い人を見つけて結婚したいと思ってます。でも、なかなか出会いもないし、出会い系サイトにまで登録したけど、ここで出会った人と結婚できるとも思えないし・・・」
「取りあえず、仕事もあるんだし、生活には困らない訳だし、焦らずにいれば良いことだってあるよ。それに、幾つになっても恋愛は出来るさ」
「そうだけど・・・」
心細げな久美を見ていると、彼女が愛おしくてたまらないという感情が湧き出てきた。
だが、私は既婚者だ。久美の望みに叶う相手ではない。あまり彼女に係わらない方が良いだろう。
そう自分に言い聞かせた。
いつの間にか沈黙が二人を包んでいた。
家具は少なく、カラーボックスに小さなテーブル、テレビと簡易ベッド、大人二人がやっと座れる程のスペースしか残っていなかった。
女性の部屋に入るのなんて20年ぶりくらいだろうか?などと考えながら、久美の匂いで満たされた部屋の中で、コーヒーを飲みながら彼女の思惑を見定めようと思考を巡らせていた。
「わたし、この先どうなるんだろう?」
不意に発した久美の言葉に、私はドキッとした。
「このまま一人ではいられないだろうし、再婚は考えてないの?」
「親はもう頼れないから、出来れば誰か良い人を見つけて結婚したいと思ってます。でも、なかなか出会いもないし、出会い系サイトにまで登録したけど、ここで出会った人と結婚できるとも思えないし・・・」
「取りあえず、仕事もあるんだし、生活には困らない訳だし、焦らずにいれば良いことだってあるよ。それに、幾つになっても恋愛は出来るさ」
「そうだけど・・・」
心細げな久美を見ていると、彼女が愛おしくてたまらないという感情が湧き出てきた。
だが、私は既婚者だ。久美の望みに叶う相手ではない。あまり彼女に係わらない方が良いだろう。
そう自分に言い聞かせた。
いつの間にか沈黙が二人を包んでいた。

