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想い人
第8章 【続】第三章・勘違いの想い人
3日間私を苦しめた生焼けプリンカップケーキの記憶が蘇り、あの苦しみが胃から登ってくる気がした。

「うえーっ、いらないーっ」

慌てて口に手を当てて抑える。


「美空‼︎ 」

「美空ちゃん⁉︎ 」

部署の皆が口々に声を掛けてくれ、背中を摩ってくれる。

「ダメ…背中摩ったら吐くから……」

苦しげに呟いた声に、皆の動きがピタッと止まった。


うー、トラウマだ…。

久しぶりに食べたお粥以外のご飯。調子に乗っちゃったかな。

はぁー…っと溜息が出る。

プリン大好きなのに…プリンを見ると、プリンカップケーキを思い出しちゃう。

プリン恐怖症になっちゃったぁ‼︎


「美空、大丈夫か?」

「うん。ごめんね、折角買って来てくれたのに…」

心配そうに顔を覗き込む透也。

申し訳なくて涙目のまま謝る。


「美空、今夜空いてる?」

ちょっと緊張気味の透也の顔。


何だろう?

空いてるよっと返しながら、何だか少し胸騒ぎがした。

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