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想い人
第8章 【続】第三章・勘違いの想い人
<side 透也>

「……は? 妊娠じゃなくて、生焼けのカップケーキ……?」

美空の言葉に、ズルズルと身体の強張りが抜けていく。


「だからあんなに優しかったんだ!」

ちょっと膨れてみせる美空。

はぁー…っと安堵の息を吐き出せば、美空の頬が益々膨れていく。


(子供の名前まで考え始めてた……)

早とちりしたらしい自分に笑えてくる。


残念な気持ちが半分と、安堵の気持ちが半分。

美空との将来は考えているし、いつかは子供も欲しい。

でも、今はまだ、美空と2人きりの時間を楽しみたい。


─────でも、


「何で、美空のお父さんに挨拶したらダメなの?」

ずっと引っかかってた。

美空の父親にも、美空と付き合っているとキチンと挨拶しておきたい。

なのに、あの時美空とその母親は俺を必死に止めた。


何で?

ジッと美空を見つめれば、困ったように笑う美空。

そして、重い口を開いた。


「………それは………」

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