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想い人
第3章 それぞれの想い人
はぁー…
朝から大袈裟にため息を吐いてみる。

昨日は透也の部屋にお泊りして、今朝は一緒に出社。
なんだか幸せ〜って浮かれていたのに……。


「透也くん、おはよう」

「あ、蕾さん。おはようございます」

出社して早々透也は受付で立ち止まり、蕾さんと楽しくお喋りを始めてしまった。


仕方なく1人歩き出した私。

「昨日の夜、透也先輩見つけちゃった」
作原さんと露木さんに捕まった……。

自慢げに携帯の写真を見せられる。

「─────…っ⁉︎ 」

腕を組んで歩く透也と蕾さんの写真。
仲睦まじげな様子に、心の中に黒い霧が広がっていく。


「美男美女! お似合いだよねっ」

「うんうん、どっかの貧乳のチビとは全然違う」

貧乳……チビ……私の事ですか⁉︎

でも……

確かにお似合い。
心なしか、透也の笑顔がいつもより幸せそうに見えるよ。


「ここ、何処だと思う?」
ずいっと目の前に寄せられた携帯画面。

背景に映るのはこの辺では有名な豪華なホテル。

─────…ホテル?

レストランとかじゃないんだ。
ホテルなんて……。

2人でホテルで食事したの?

食事だけ?

まさか……
まさか……ね…。

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