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恐怖!買われた経験
第1章 君を買いたい
「もしもし、牧くん。君を買いたいって人がいるんだけど」
 前に一緒にAVに出演したルミさんからの電話だ。
「ぼ、ぼくをですか?」
「ええ、興味があったら今夜うちのお店に来て」
 買いたいとはどういうことだろうか?
 性のお相手?
 肉体労働に使いたいとか、そういうのかも知れない。
 恐る恐る店に顔を出すと、
「こちらの奥様よ」
と、ルミさんに紹介されたのは静江という女性だった。
 ちょっと落ち着きがあって、余裕のあるマダムという感じ。
「ふーん、ビデオで見た通りの可愛い子ね」
 ぼくを見ながら言う。
「脱いでみて」
「は、はい」
 シャツを脱いで上半身裸になると、
「体も合格だわ」
 しげしげ見つめながらつぶやく。
「明日の朝十時にここへ来て」
と、紙に書いた地図を渡される。地図の下には少なからぬ金額が書いてあった。
「報酬はそこに書いてある通り。夕方にはお渡しするわ」
 艶然と微笑む彼女の前で、蛇ににらまれたカエルの如く逆らうことが出来なかった。

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