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お前の奥さん、やられちゃうぞ!
第1章 お前の奥さん、やられちゃうぞ!
美樹を守っている、唯一の衣服がはぎ取られようとしている。
オレと古瀬は可能な限り、早く美樹を助けるために頑張っている。
でも、その努力は果たして実るのか?
オレは、くじけそうになる心を、奮起させながら急ぐ。
「到着だ」
古瀬が言った。
そびえ建つホテル。
この建物の中に美樹が居るのだ。
チラッと大きな建物を見上げて、オレは入口を探すために走ろうとする。
古瀬は裏口の駐車場にスクーターを停め、走り出そうとするオレを制した。
逆上して突撃しそうなオレに、早口で作戦を説明しながら、注意深く進む。
古瀬によると、特別客用の玄関があるという。他の客と顔を合わせなくてもいいように造られているようだ。
そこから侵入する。
監視カメラを素早く探す。いかにもカメラです…と言っているような大きな箱にガラス窓が付いているモノを探す。
(現在はこの手のカメラは姿を消して、カメラ本体が小さくカモフラージュされ、発見されづらくなっているようです)
幸いにも、そのようなモノは見当たらない。
目立たない裏玄関だが、さすがに特別客用である。
クルマが着けるように屋根付きのしゃれた作り。
庭園の植え込みに隠れたたたづまいで、濃いガラスの自動ドアがある。
古瀬は素早く入口を確認する。
幸いにも、警備室から遠隔操作する電子錠ではない。
古いドアなのが幸いした
古瀬は背負ったリュックから小さな工具を取り出し、あっという間に鍵を開ける。
電動のピッキング器具だったようだ。
その頃はまだピッキングという鍵を破る方法は、一般的には知られていなかったと思う。
(現在はディンプル鍵や内溝鍵、電子錠など鍵が複雑になっていて、簡単には解錠できない作りのようです)
ここにも監視カメラは無いようだ。
エレベーターはいっきに特別室のフロアー、○○階に行く造りである。
古瀬は慎重だ。
エレベーターが運転監視されているかどうか確認している。
幸いにも、それは無いようだ。
古瀬とオレは、ボタンを押した。
かまわず○○階まで上がっていく。
いったい古瀬はどのような方法で美樹を救い出すのか。
古瀬はエレベータの中でオレに早口で説明を始めた。