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お前の奥さん、やられちゃうぞ!
第1章 お前の奥さん、やられちゃうぞ!
「三角はん、ヤバいことになってるで」
そう叫んだのは、千崎だ。
もう一つの黒い影がドアから飛び出した
三角だ
廊下の先に、懐中電灯を大きく振っている人の影が見える。
古瀬だ。
「おーい、こっちだ、こっちから避難しろ」
古瀬が、二人を誘導する。
古瀬は二人をエレベーターに乗せる。
その時に、催涙ガスが出る缶をエレベーターの室内に転がして入れる。
古瀬は、エレベーターを止めるために機械室へと走る。
二人を閉じ込める作戦だ。
エレベーターは地震や停電時に最寄りの階で停止し、扉が開く安全設計になっている。しかし、確実に安全装置が作動するとは限らない。実際に最近の地震でも、閉じ込められた事例がたくさんある。
古瀬は、故意に閉じ込めるよう操作しているのだ。
そして室内には催涙ガス。
「死にはしない」
と古瀬は言う。
「しかし、死ぬほど苦しい思いは、味わってもらわないとな。」
外国映画のように、エレベーターの天井から脱出することなど、国内のエレベーターの構造では、そんなことはできないと言う。
あの狭い空間で催涙ガスが充満することによる苦しみ。オレはそれでも少なすぎると感じる。