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あの海の果てまでも
第4章 新月の恋人たち 〜新たなる運命の扉〜
「…何度も…抱かれました…」
「くそっ…」
普段使わないような品のない物言いが口をついてしまう。
暁の華奢な骨盤が砕けそうになるまで、抽送を繰り返す。
「…んっ…!…あぁ…こわれ…る…」
甘い吐息ごと奪う濃密な淫らな口づけを繰り返す。

「…風間と、付き合ったの?」
…二人の関係をこれまで聞いたことはなかった。
なんとなく、尋ねるのが怖かったのだ。

うっすらと潤んだ瞳が見開かれ、寂しげに微笑む。
「…つきあい…ました…。
…貴方と別れたあと…身も心も凍えそうに寒くて…」
…いけませんか?
ふっと皮肉的に微笑まれ、大紋は暁を抱き竦める。
「…いいや。君は悪くない。
悪いのは俺だ。
…ごめん」
子どもじみた嫉妬の感情を抑えきれなかった。
…暁と別れたのはすべて自分のせいなのに。

暁の白くほっそりとした指が大紋の乱れた髪を優しく掻き上げる。
「…だって…そうでもしないと…貴方を忘れられなかったから…」
「…暁…」

…過去を思い出すように、彼はゆっくりと語りだす。
「忍さんに抱かれながら、いつも貴方を思い浮かべていました…。
酷い恋人ですよね…。
…忍さんは…きっと何もかも分かっていたと思います。
分かっていて、すべてを受け入れてくれた…。
…でも…忍さんには、申し訳ないけれど…やっぱり忘れられなかった…。
貴方のことを…どうしても忘れられなかった…。
…だから、たくさんのひとを哀しませても…苦しませても…僕は貴方の手を取ったのです…」

暁はその美しい射干玉色の瞳から水晶のような涙を溢した。

「…貴方が思うよりもずっと、激しく、僕は貴方を愛していたのですよ…」

…今もね…。
はにかむような、無垢な微笑み…。

「…暁…!」

…もう言葉は必要なかった。
大紋は暁のすべてを食むような、奪い尽くすような…それでいてすべてを与え、慈しむような、愛と情熱に満ちた口づけを繰り返した。

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