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あの海の果てまでも
第7章 秋桜の涙 〜新たなる夜明けへ〜
…大紋家の屋敷を出た礼也は、朝焼けの空を見上げた。
薄墨色の空が徐々に茜色に染まり出す静かな明け方…。
小さく、けれど確かに光る暁の星が見えた。

…倫敦に行こう。

礼也は決意を固めた。
会いたくて堪らない美しい弟の面影が微かに瞬く星に重なる。
暁に会いに行こう。
どれだけ自分が彼を愛しているか伝えよう。
どれだけ自分が彼の幸せを願っているか伝えよう。

春馬にも会おう。
今産まれた健やかな彼の血を引く子どものことを伝えよう。
どれだけ絢子が立派だったかも伝えよう。
伝えなくてはならない。
彼らはそのことを背負いながら一生生きていくのだから。

…倫敦に行って、それから…。

不意に光の高慢な…けれど息を呑むほどに美しく強い星のような眼差しが浮かんだ。

礼也は思わず微笑んだ。

「…巴里に行って光さんに会うのも悪くないな」

『私はオペラガルニエが見える九区のアパルトマンに住んでいるの。
もしいらしたら歓迎するわ。
では、ご機嫌よう』
そう高貴な猫のように驕慢な瞳を細めて光はウィンクして見せた。

「…あの跳ねっ返りで傲慢なお姫様に会いに行ってやるのも悪くはないな」

もちろん好きなわけではない。
光は艶やかな大輪の花のような美女だが、全く好みではない。
私はもっとお淑やかで楚々とした素直な淑女が好きなのだ。
あんな気の強い男勝りな娘は論外だ。
…ただ、なんとなく気になるだけだ。

礼也は、暁に輝く星に名残惜しげに別れを告げ、運転手が待つ車へと歩を進めたのだった。


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