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あの海の果てまでも
第7章 秋桜の涙 〜新たなる夜明けへ〜
「…礼也様…。
私、この子の顔を見た瞬間に思いました。
私はこの子の母親なのだと。
世界中にたった一人の母親なのだと。
…ですから、私は強くなります。
強くなってこの子をこの大紋家の跡継ぎに相応しい素晴らしい人間に育て上げます。
いつか、春馬様にお見せしても恥ずかしくない立派な人間に育ててみせますわ」

そこにはいつものか弱く頼りなげな少女のような絢子はどこにもいなかった。
強く美しい輝きに満ちたひとりの母親が存在していた。

また、絢子はこう続けた。

「この子の名前は、暁人にいたします」

意外な言葉にたじろく礼也に、絢子は穏やかな、曇りのない眼差しで微笑んだ。

「…私が身籠ってから春馬様は仰っていたのです。
男の子だったら、暁人…あきひとと名付けたい…と」

…暁を忘れられなかった春馬の密かな願いだったのだろう。
けれど、そのかつての恋人と駆け落ちした今、その名を赤ん坊に名付けるのは、絢子にとって酷ではないのか。

「いいえ、良いのです」

礼也の心を推し量ったかのように、絢子が首を振る。

「春馬様の名付けたい名前を付けられたこの子は、必ず幸せになりますわ」

そう言い切ると、腕の中に眠る赤ん坊に愛おしげにキスを与えた。

…その姿は、清らかで尊い一枚のピエタであった。

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