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第12章 【喪失、そして再生～ここではないどこかへ～】♣海の女神♣

　慌てて手を振るも、網元はかなり酒が回ってきたらしく、有無を言わせない勢いだ。
「お父さんったら。無理強いは駄目よ」
　眞矢歌が父親を窘める口調はまるで長年連れ添った古女房のようである。そういえば、この家にはおかみさんがいない。晃三の歳であれば、まだ妻が健在だとしても不思議はない。既に亡くなったのだとも考えられたが、いかにしても酒の席で訊ねられるものではなかった。