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メダイユ国物語
第4章 非情な実験
ファニータの薄褐色の顔が、見る見るうちに青ざめる。
「お前は今からアレと交わって、アレの子を孕んでもらいます。それがお前の仕事です」
「イヤ……イヤです。そんなの絶対にイヤ」
見開いた目をオズベリヒ向け、頭を左右に振るファニータ。するとオズベリヒは再び彼女の元へ近づき、
「私の命令に従わないと言うのであれば、お前の主がどうなっても知りませんよ」
と耳元で囁いた。
「お前が自決した場合も同様です。マレーナ姫を処刑します」
「そ、そんな……」
ファニータの口からガチガチと歯を鳴らす音が漏れた。
「どうしますか? それでも拒否しますか?」
「――いいえ……命令に従います」
恐怖に怯える表情で、彼女は頷いた。
「ファニータやめて! わたしのことはいいから、断って!」
その時隣の部屋では、侍女のことを見守っていた王女が両手で窓を叩きながら泣き叫んでいた。だが、オズベリヒの言うとおり、いくら窓を叩いても隣の部屋には伝わらなかった。
また、向こうの部屋の音声はマイクで拾われ、マレーナのいる部屋にもスピーカーで聞こえていたが、こちらの声は向こう側には届かない。今のマレーナはあまりにも無力だった。
「おい、薬を用意しろ」
オズベリヒは白衣姿のひとりに命じた。彼は「はっ」と頭を軽く下げ、その場を離れて部屋を出て行く。
「では準備に取り掛かります。お前は四つん這いになりなさい」
続けてファニータに指示を出すオズベリヒ。ベッドの上の彼女は恥ずかしさでいっぱいだったが、逆らうことは出来ない。素直に従い、両手と両膝を付いて指示通りの態勢を取った。
「頭は向こう側へ、こちらには下半身を向けるのです」
言われるままに、ファニータはベッドの上で180度向きを変える。オズベリヒの前に彼女の下半身が向けられた。検査衣がかろうじて尻を隠しているその下には、薄褐色の肌の健康的な太腿が伸びていた。
「お持ちいたしました」
そこへ、先ほど部屋を出て行った白衣姿の部下が、手に銀色の金属トレイを持ってやって来た。トレイの上には、半透明のプラスティック製の物体、もうひとつ小さなガラス製の瓶が載せられている。針の付かない注射器のようなプラスティック製の円筒形には、白い液体がいっぱいに詰められており、ガラス瓶の方は透明の液体が入っていた。
「お前は今からアレと交わって、アレの子を孕んでもらいます。それがお前の仕事です」
「イヤ……イヤです。そんなの絶対にイヤ」
見開いた目をオズベリヒ向け、頭を左右に振るファニータ。するとオズベリヒは再び彼女の元へ近づき、
「私の命令に従わないと言うのであれば、お前の主がどうなっても知りませんよ」
と耳元で囁いた。
「お前が自決した場合も同様です。マレーナ姫を処刑します」
「そ、そんな……」
ファニータの口からガチガチと歯を鳴らす音が漏れた。
「どうしますか? それでも拒否しますか?」
「――いいえ……命令に従います」
恐怖に怯える表情で、彼女は頷いた。
「ファニータやめて! わたしのことはいいから、断って!」
その時隣の部屋では、侍女のことを見守っていた王女が両手で窓を叩きながら泣き叫んでいた。だが、オズベリヒの言うとおり、いくら窓を叩いても隣の部屋には伝わらなかった。
また、向こうの部屋の音声はマイクで拾われ、マレーナのいる部屋にもスピーカーで聞こえていたが、こちらの声は向こう側には届かない。今のマレーナはあまりにも無力だった。
「おい、薬を用意しろ」
オズベリヒは白衣姿のひとりに命じた。彼は「はっ」と頭を軽く下げ、その場を離れて部屋を出て行く。
「では準備に取り掛かります。お前は四つん這いになりなさい」
続けてファニータに指示を出すオズベリヒ。ベッドの上の彼女は恥ずかしさでいっぱいだったが、逆らうことは出来ない。素直に従い、両手と両膝を付いて指示通りの態勢を取った。
「頭は向こう側へ、こちらには下半身を向けるのです」
言われるままに、ファニータはベッドの上で180度向きを変える。オズベリヒの前に彼女の下半身が向けられた。検査衣がかろうじて尻を隠しているその下には、薄褐色の肌の健康的な太腿が伸びていた。
「お持ちいたしました」
そこへ、先ほど部屋を出て行った白衣姿の部下が、手に銀色の金属トレイを持ってやって来た。トレイの上には、半透明のプラスティック製の物体、もうひとつ小さなガラス製の瓶が載せられている。針の付かない注射器のようなプラスティック製の円筒形には、白い液体がいっぱいに詰められており、ガラス瓶の方は透明の液体が入っていた。