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メダイユ国物語
第6章 小さな慰み者
        6

 王女専用の浴室は広く、室内の壁面やバスタブを始め、蛇口、シャワーヘッドに至るまで凝った意匠の装飾で彩られていた。備え付けられた調度品も、どれも豪華な物だった。

 使用人が使う浴室も決して粗末という訳ではない。だが、王族の使用する物とは、やはり比べ物にはならないのも事実だった。

 パウラはこの浴室に初めて足を踏み入れたわけではなく、清掃のために何度か入ったことがあった。まさかそこで実際に入浴することになるとは、彼女も夢にも思わなかったことだろう。

 今、浴室の中では、マレーナが小柄な少女の背中を洗っていた。彼女の目の前には、全身が石鹸の泡で包まれたパウラが座っている。

「マレーナ様……恐れ多いです」

 パウラは何度も主にそう声を掛ける。

「いいのよ。今のわたしには、あなたにこれくらいの事しかしてあげられないのだから」

 王女マレーナと侍女のパウラは、共に金髪で肌は白い。瞳の色こそ違いはあるものの、もしもこの光景を第三者が目にすることが出来るのなら、二人は仲の良い姉妹であり、面倒見の良い姉が妹の身体を洗っている微笑ましい場面、誰もがそんな感想を持つことだろう。

 マレーナはパウラの小さな背中を洗いながらも、ふと数刻前に見た光景を思い出さずにはいられなかった。

(こんな小さな身体で、この子はあの男たちに……)

 ベッドの上で組み伏せられ、男の欲望の捌け口にされていた彼女の、苦悶に満ちた顔が脳裏に蘇る。

(しかも、よりにもよって精液まで胎内で出されるなど……なんて酷いことを)

「マレーナ様?」

 知らず知らずのうち、ボディスポンジを持つマレーナの手は止まっていた。

「どうかなさったのですか?」

 パウラは怪訝な表情で振り返る。

「ハッ!」

 我に返るマレーナ。
 目の前の少女はキョトンと大きな瞳を彼女に向けていた。

「パウラ、ごめんなさい。ちょっとだけ我慢してちょうだい」

「え?」

 パウラの返事を聞く間もなく、マレーナはボディスポンジを持ち替えると、少女の両腿の間に右手を滑り込ませた。掌を内腿を這わせ、すぐに足の付根部分に到達する。

「姫様、何を……」

 突然の王女の行動に、パウラは混乱する。
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