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青い煩い、少女の情動。
第8章 布団の香り、

『やったー!』
[う……、]
私が操作するフォックスが画面外へ飛んでゆく。
リザルト画面にはジョーカー、
だいしょーりー、というモルガナの声。
つまり私は負けたのだ。
『あー楽しかった。またやろうね莉央お姉ちゃん!』
[今度は負けないから、]
昨日の約束通り、
朝ご飯を食べた後の一戦だけのスマブラ。
私は負けたけれど、悠寿君の満面の笑みが見れたからこれはこれで満足だ。
[じゃあ、そろそろ帰ろうかな、]
荷物を抱えて、別れを告げる。
『うん、またね。』
悠寿君は駄々を捏ねてくれるかと期待したが、昨日で懲りたらしい。ちょっと残念。
『莉央、また来てね。いつでもいいから。』
[うん。絶対また来るよ。]
そして三人で玄関へ行く。
あぁ、楽しかったなぁー
好きな人と一つ屋根の下というドキドキも勿論あったけれど、何より三人で過ごすのがとても楽しかった。絶対また来よう。明日ぐらいに……
あ、
私は悠寿君のもとへ駆け寄り、囁いた。
[あのことはにぃには内緒ねっ?]
首を縦に振る悠寿君、若干顔が赤い。
[お邪魔しました。]
がちゃ、とドアを開け新鮮な空気を肺に取り込む。
『またね、』
『また明日、』
心地よい声を背中に聞きながら、なかばスキップでコンクリートへ踏み出した。

