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それぞれの後編
第9章 サディスティック・マリッジ〜第四章・夏〜【仲直りの仕方】
佐藤の隣は根岸のために一つ空け、そのまた隣に松田が腰を下ろす。

愛里咲も覚悟を決め、琉の隣の席へと腰を下ろした。


「……カレー好きだったよな?」

まるで喧嘩なんてなかったかのように、琉が愛里咲に話しかけてくる。

でも、その視線が絡まない。

琉の前に置かれた手付けずのカレーライスを見ながら話す琉につられ、愛里咲もカレーライスへと視線を落とした。


「…最近外食ばっかだから…愛里咲の弁当と交換して?」

「え?」

戸惑う愛里咲を無視して、琉はカレーライスの載ったお盆を愛里咲の前へと移動させ、愛里咲の手の中のお弁当を引き寄せる。


「えーっ、琉先輩、そんな小さなお弁当で足りるんですかぁ?」

2人の様子をジッと見ていた摩美が口を挟む。

「……中身はギッチギチに詰まってる」

弁当箱を開け、ボソッと呟いた琉の言葉に、愛里咲は少しムッとした。


「……夕飯いるのかいらないのか連絡がないから、琉ちゃんの分も作ってるんだよ⁉︎ 毎晩手も付けられずに残るばっかで、お陰でお弁当箱いっぱいなの‼︎ 」


思わず大声を出した愛里咲の声が、いつの間にか静まり返った社食に響いていた。

(うわっ…恥ずかしい…っ…)

集まる視線に耐えきれず、愛里咲は真っ赤になって俯いた。

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