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第9章 サディスティック・マリッジ〜第四章・夏〜【仲直りの仕方】

「…じゃ…ない……」

「は？」

「私はっ…ドMじゃない‼︎ 」

痛みに顔を歪めながらも、愛里咲はキッパリとした口調で言い放った。


「ぶっ…」

「……⁈……」

突然聞こえた噴き出すような笑い声に、愛里咲も、目の前の飯村も驚いた様子で目を瞠った。


「この状況で、言いたいのはそれかよ？」

その声に驚き、愛里咲と飯村が資料室のドアへと同時に目を向ける。


「……琉ちゃんっ⁉︎ 」

愛里咲の口から安堵の息が漏れ、その身体から力が抜けていく。

「……意外と早い登場ですね」

飯村が愛里咲から手を離せば、愛里咲の身体はヘナヘナと床に崩れ落ちた。

「……今度は…間に合ってよかった」

力強い腕がグッと愛里咲を引き起こし、その胸に抱き寄せられる。


「琉ちゃっ…うぇっ…っ…‼︎ 」

堰を切ったように泣きじゃくり、愛里咲は琉にキツく抱き着いた。