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それぞれの後編
第10章 サディスティック・マリッジ〜第五章・秋〜【前進するために…】
(琉ちゃんのお茶出しっていうと、相手は里中さんかなぁ……気まずい)


愛里咲と里中が最後にあったのは、ちょうど一年ほど前。

結婚式を間近に控えた秋の日だった。

愛里咲を想ってくれる里中をキッパリと拒絶した愛里咲。

その後は、里中が来社する事もあまりなかったし、あっても事情を知っている根岸がお茶出しをしてくれていた。



「……失礼します」

愛里咲は来客室へとお茶を運んだ。


(……あれ?)

佐藤と琉のテーブルを挟んだ向こうに、里中の仕事のペアの高橋がいる。

だが、里中の姿はなかった。


「あ、里中は別件で電話中でして…」

愛里咲と里中が知り合いだと知っている高橋が、申し訳なさげに愛里咲に小さく頭を下げた。

「お茶、そこに置いといて」

「あ、はい」

愛里咲は琉に言われ、テーブルの上にお茶を4つ並べて来客室を出た。

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