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それぞれの後編
第10章 サディスティック・マリッジ〜第五章・秋〜【前進するために…】
部長の町田に頼まれていた仕事を提出し終え、愛里咲は自分の席へと戻る。

「あ、愛里咲さん」

その途中で、摩美に呼び止められた。


「15時から来客室にお茶4つお願いします」

「は?」

当然のようにそう言う摩美を、愛里咲はポカンと見ていた。


お茶出しは新人の仕事。

去年は愛里咲が1人でこなしていた事だ。


「ちょっと森永さん⁈ 」

「私、木村さんに嫌がらせのように仕事を詰め込まれてるんで!」

「いや…私だって他に仕事が…」

愛里咲の言葉を無視して、スタスタと歩き出す摩美。


「森永! 先方来てるから。お茶4つな」

部署の出入り口ドアから、琉がヒョコッと顔を覗かせる。

「あ、愛里咲さんが持って行ってくれるそうです」

「ちょっ…」

「愛里咲、頼むな」

「はっ…」

答える暇なく話が進み、愛里咲は大きくため息を吐き出して給湯室へと向かった。

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