この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
それぞれの後編
第20章 サディスティック・マリッジ【あとがきのあと】
「あぁあぁああの……お風呂!お風呂沸かしてきます!」
「ふーん?風呂で使う?」
「ひぃっ!お断りします!」
逃げようともがく程、愛里咲はどんどん追い詰められていく。ついには、足が縺れて転んだ愛里咲の上に琉が覆い被さった。
愛里咲の顔の両脇に、肘を曲げて置かれた琉の両手。獲物を追い詰めたようなオスの悦に浸る顔にドキリとする。
だけど、この瞬間に言われるのは胸を抉る言葉。
”オモチャに拒否権はない”
何度も言われてきたその言葉が頭の中を支配して、愛里咲の涙腺を崩壊させる。
「何度も言わせんな」
この後、形のいい唇が告げるのは ”お前はオモチャだ” と思い知らされる残酷な言葉。
慌てて塞ごうとした愛里咲の両手が耳に届く前に、琉の唇がそれを告げた。
「愛里咲に拒否権はない」
”愛里咲” と。
「オモチャ……じゃ、ない……?」
そう。いつの頃からか、”オモチャ” ではなく、そこは” 愛里咲自身” を指す言葉がはめられていた。
(ああ、そうだ。結婚式の日に琉ちゃんから……)
それを皮切りに、結婚式での琉の告白が、愛里咲の頭の中でリピート再生される。
愛の深さを計る必要なんてない。疑うこともやめたんだ。
意地悪で、ちっとも素直じゃない。甘さの欠片もない琉が、真っ赤になって ”愛している” とそう告げてくれたのだから。
「……意味わかんねぇ」
琉の指が、愛里咲の涙を何度も拭う。優しいその指と同様に、琉の瞳も困ったように揺れている。
─────好き。その気持ちが溢れ出す。
そんな甘い言葉、琉が何度も言ってくれるわけないのはわかっているけれど。それでも愛里咲は聞かずには、そして伝えずにはいられなくなる。
「ふーん?風呂で使う?」
「ひぃっ!お断りします!」
逃げようともがく程、愛里咲はどんどん追い詰められていく。ついには、足が縺れて転んだ愛里咲の上に琉が覆い被さった。
愛里咲の顔の両脇に、肘を曲げて置かれた琉の両手。獲物を追い詰めたようなオスの悦に浸る顔にドキリとする。
だけど、この瞬間に言われるのは胸を抉る言葉。
”オモチャに拒否権はない”
何度も言われてきたその言葉が頭の中を支配して、愛里咲の涙腺を崩壊させる。
「何度も言わせんな」
この後、形のいい唇が告げるのは ”お前はオモチャだ” と思い知らされる残酷な言葉。
慌てて塞ごうとした愛里咲の両手が耳に届く前に、琉の唇がそれを告げた。
「愛里咲に拒否権はない」
”愛里咲” と。
「オモチャ……じゃ、ない……?」
そう。いつの頃からか、”オモチャ” ではなく、そこは” 愛里咲自身” を指す言葉がはめられていた。
(ああ、そうだ。結婚式の日に琉ちゃんから……)
それを皮切りに、結婚式での琉の告白が、愛里咲の頭の中でリピート再生される。
愛の深さを計る必要なんてない。疑うこともやめたんだ。
意地悪で、ちっとも素直じゃない。甘さの欠片もない琉が、真っ赤になって ”愛している” とそう告げてくれたのだから。
「……意味わかんねぇ」
琉の指が、愛里咲の涙を何度も拭う。優しいその指と同様に、琉の瞳も困ったように揺れている。
─────好き。その気持ちが溢れ出す。
そんな甘い言葉、琉が何度も言ってくれるわけないのはわかっているけれど。それでも愛里咲は聞かずには、そして伝えずにはいられなくなる。