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少し愛して
第13章  千佳の母
(1)
この頃、千佳は専業主婦を辞めてパソコンのインストラクターの仕事をしていた。
その仕事もとてもやりがいのある仕事だった。

勤務先は自宅からバズに乗りセンター南駅にある港北東急百貨店の中の一角にあった。
しかし、勤務時間はとても長かった。

朝の10時から夜の9時までが仕事だったのだ。
土日祝日も休みではなかった。

土日祝日が仕事の時、夜9時になると佑貴が車で迎えに来てくれることもあったのだ。
そんな頃だった。

千佳の母、八重のガンが再発したのだ。
ガンは完治していたものだと千佳は思っていたが、それは違っていた。

八重は今から5年前に子宮頸がんと診断され、辛い手術をして奇跡的にも完治したのだ。
まさか再発するなどは思ってもいなかった。

千佳は八重の担当医に呼ばれてこう話をされた。

「お母さまの命は後2、3か月です。病気から来るうつも併発しています。いつもどなたか一緒にいてあげてください」

それを聞いた時、千佳はこの日がとうとう来たのか…と、思っていた。
そして、仕事を辞めて八重の最期の看病をすることに決めたのだった。

この年、偶然にも千佳は佑貴の勧めもあり自動車学校に通い車の免許を取得していた。
そして、中古車を購入したのだ。

その車で八重を病院に連れて行ったり、実家に行ったりしていた。
千佳の実家は川崎市にあった。

車でもそんなに時間はかからなかった。

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