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第15章 　千佳

（1）
千佳は佑貴と別れてまたひとりになった。
この頃、益々千佳の精神状態は不安定になっていった。

八重を亡くしたショックから喪失うつになっていたのだ。
生きる希望を失っていた。

毎日を生きるのが難しい状態であった。
千佳は八重が居ないこの世など何の意味もないと思っていた。

早く自分も八重の所に行きたいと思うようになっていた。
だが、それは叶わぬ願いであった。

千佳は毎日、毎日ベッドで寝込むことが多くなっていった。
仕事もできない状態だったのだ。

そんな時、いつも助けてくれたのが2匹の猫だった。
猫たちはいつも千佳の側にいた。

悲しむ千佳を見てはその手を舐め、癒してくれた。
千佳はこの先、ずっとひとりだろうと思っていた。

もう、恋などできないと思っていたのだ。
だが、別れた佑貴ともまた関係を持ってゆくことをこの時はまだ知らなかった。

そして、また、新たな出逢いが来ることを千佳は知らなかったのである。
千佳の人生はまた新たな展開を迎えるのであった。


（終わり）