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第10章 　秘密②

（1）
千佳は室井と別れると次の相手を探した。
この頃、千佳は新宿のとある呉服屋に足しげく通っていた。

千佳は和服が好きだったのである。
自分で着付けもできるくらいであった。

そんな呉服屋の若旦那が桜庭英明である。
年齢は千佳よりも2歳ほど年下で独身であった。

「桜庭呉服店」という店を営んでいた。

桜庭は呉服屋の若旦那らしくいつも店にいるときは着流しの着物を着ていた。
顔は色白でちょっと破滅的な感じがする男性だった。

千佳はその桜庭に会いたくて呉服屋に通っていたのだ。
その呉服屋で千佳は黄八丈の着物を頼んでいた。

その着物が縫いあがるのを待っていたのだ。
千佳の携帯が鳴った。

「もしもし…」
「福山さんでしょうか。桜庭呉服店の桜庭ですが…」

「はい、福山です…」
「お着物ですが、仕上がりましたので引き取りに来て頂けますか？」

「はい、分かりました。明日伺います」
「よろしくお願いします」

そう言うと電話は切れた。
千佳は桜庭に会えると思うとすごく嬉しかったのだ。

翌日、着物を取りに行こうと思っていた。