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Autamoon(秋月夜)
第10章 料理の下手な女
 ②

「料理なんて興味ない…」

「え、外食なんだ?…」

「あぁ、もしくは…レンジでチンだよ」

「え、レンジでチン?…」

「そう、だって今はさぁ、とてつもなく美味しいレトルト系がたくさんあるじゃん」

「ま、確かに…」

「しかも、手間いらずだ…」

「確かに…」

「そんな料理如きに手間暇かけるならば、自分磨きに時間をかけたい…」

「………」

「だから、料理下手イコールいい女…
 旨い、美味い料理は男に貢がせるか、レンジでチン…だ
 その為には自分を磨き、セックステクニックを磨き、男を魅了する…」

「わ、解らなくはないけどさ…
 ちょっと極端過ぎなんじゃないかなぁ…」
 ロックグラスの氷がカランと鳴った。

「いや、いい女はそうあるべき…」


 ふむ、ふむ…

 わたしはそんな彼らの話しを聞いていて、思わず心の中で頷いてしまう。

 なぜなら…
 わたしは料理が下手、いや、ほぼ全く出来ないからである。

 だが、あの彼の云う通り、わたしは常に美味しい料理、旨い料理を食べている…
 そして食べられているその理由も、彼の云う通りにほぼ近いのだ。

 確かに貢がせてもいるし、床上手とも云われている…
 その為には自分磨きを常に、予断なく勤しんでいる。
 
 彼の云う通りかもしれない…

 そして…

 レンジでチンだ…



「さて…部屋へ戻るか」
 そうロックグラスの男は立ち上がる。

「あ…俺は…もう一杯飲んでいくよ」
 そうロンググラスの男は残る。

 話している途中にチラチラとわたしを見ていたから…
 
 そういうことなのだろう…

 だが、今夜は、わたしが先手を打った。

「ねぇ…
 わたしは料理が下手なの…」
 
 そう、彼に囁いたのだ…


 秋の夜長の…

 つまみ食いにはちょうど良いかも…





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