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Autamoon(秋月夜)
第13章 ラブホテル
 ②

「…あ……」

 目覚めると、隣に誰かが眠っていた…

 あっ、痛ぅ…
 そして激しい頭痛と喉の渇きを自覚し、慌ててキョロキョロと目を上下左右に動かしていく。

「え…」

 あ、こ、ここは…

 ラブホテルだ…

 紫の壁、至る所にある鏡、そしてギラギラと趣味の悪いシャンデリア…

 確か…
 昨夜は会社の飲み会があって…
 二次会にカラオケ行って…
 ああ…
 その後の記憶がない…
 ドキドキドキドキ…
 急に、心が高鳴り、焦燥感と自虐感が湧き起こってきた。

 あっ…
 慌てて布団の中を覗くと、キャミソールとショーツは…
 履いている…

「ん?…」
 そして隣を覗くとお尻が見える、スッポンポン、裸であった。

 ん?…
 わたしは下着を履いているいるが、隣は裸…

 ん?…
 ヤッたのか?、ヤらなかったのか?…

 思わずショーツの中に指先を忍ばせて確認してみるのだが…
 分からなかった…

 で、一体隣は誰なんだ?…
 向こうを向いて寝ているからイマイチ解らない…

 か、会社の男だよね…

 え、でも、この髪の毛の長さ、色艶は…
 誰?…
 こんな男いたんだっけ?…

「…ん…んーん……」
 えっ、その声は…
「…ん、うん、あ…おはよう…」

「えっ」
 女?…
 え…

 先輩っ…

 そう寝ていたのは同じ課の女性の先輩であった…

 ええ…

 まさか…

「うふ…もう、昨夜は激しくてぇ…」
 恥ずかしそうにわたしを見つめ、そう囁いてきた。

「ええっ…」
「もぉ、やだわぁ、覚えてないのぉ」

「………」
 全く覚えてない…
 カラオケの途中からの記憶が無い…

「もぉぉ…」
 先輩はそう呟きながらキスをしてくる。

「あっ、ち、ちょっと待っ…あっ…」
 その先輩の唇が触れた瞬間に、一気に記憶が蘇ってきたのだ。

 あ…
 どうやらわたしが誘った様であった…

 まさか…

「もお、激しくてぇ、あんな事初めてぇ…」
 先輩は恥ずかしそうに、そして、潤んだ濡れた目をしながらそう囁いてきた。

 そして枕元には、大人の玩具が転がっていた…

「もぉ…」

 ここはラブホテル…

 わたしは…
 開き直るしかない…
 
 理由は解らないが…
 これが現実だ…
 開き直って、腹を括る…

 よし…

 覚えてないなら…


 思い出すまでだ…



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