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  バガテル第25番イ短調  (エリーゼのために)
第1章 エリーゼのために…
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「駿のままで…
 男の子の駿のままで…」

 愛してよ…

 忘れさせてよぉ…
 葵さんはそう叫ぶ。


 男の子のままの僕…

 それは昨年末のクリスマスイブ以前以来の事となる。

 あのクリスマスイブの夜以来ずうっと…

 僕は『おちんちんのある女の子』として、葵さんと愛し合う様に、いや、愛し合ってきていた。

 そしてそれは僕の心をすっかり変え…

 女の子になる事が快感で…

 自然となっていき…

 だが、日常生活をしていく上では断然、男の子としての生活時間が長い訳であるから…

 いつしか僕は…

『おちんちんのある女の子』が普通となってしまい、日常生活を男の子のフリをする位な感じとなってしまっていたんだ…

 そう…

『おちんちんのある女の子』が本当の僕で…

 日常の男の子としての僕は…

 仮の僕…

 そんな感じなってしまっていたんだ。

 だから、男の子としての僕で葵さんを愛する…

 それは約半年振りであり…

 今の僕には少し違和感さえ感じつつあったんだ。

 だけど…

 前後をサラリーマンの男性二人に挟まれ…

 あ、葵さんのイメージで、サラリーマンの男性として伝わってきていた…

 弄られ…

 勃ってしまった…


 その葵さんの心の衝撃を打ち消し、払拭する為には…

 男の子としての、いや、男としての僕、駿が葵さんを強く愛する他には方法が無いのだ…
 と、僕にも分かる。

「うん、わかった…」
 そう囁き、葵さんを抱き締め、ソファに寝かせ、キスをしていく。

「はあぁ、駿、駿、しゅんん…」
 キスをし、唇を吸い、舌先を絡ませ、甘い唾液を交わしていく。

「あ、葵さん、大丈夫だからぁ」

「あぁ、しゅんん、駿、しゅん…」
 そしてゆっくりと制服のスカートの中に手を忍ばせていく。

 あっ、だからか…

 だから、こんな蒸し暑い梅雨に入っても、葵さんは痴漢に直接触られないようにとパンティストッキングを毎日穿いていたんだ…
 僕はストッキングを穿いている股間に触れてそう気づいた。


「うん、そ、そうなの…」

 それまでは、本当に、たまぁに、お尻を軽く触ってくる程度だったし…

「それに怖かったから…」

「そうですよね…」

 僕だって怖いですよ…



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