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  バガテル第25番イ短調  (エリーゼのために)
第1章 エリーゼのために…
 4

 すると太腿が、僕の顔をギュッと挟み込んできた。

 そして…


 え…

 あっ…

 な、何だ…

 な、何かある?…

 太腿に挟まれて、股間の真ん中ギリギリに引き寄せられた僕の顔に、いや、鼻先に…

 何か…

 固いモノが…

 当たってきたのだ。

 え?…

 な、何だ?…

 何が固いんだ?…

 僕は更にギュッと太腿に挟まれて、その固い何かも、更に当たってきた。


「あっ…」
 すると、パッとスカートが捲り上げられ、そして慌てて顔を上げると…

「もう…
 熱い鼻息を吹き掛けてくるんだもん…」

 妖しい瞳を僕に向け…

「感じちゃって…
 固くなっちゃったぁ…」

 そう、微笑みながら、いや、妖しい笑みを浮かべて囁いてきた…

「え…、固くなった…って?」
 僕は思わず呟く。

「ほらぁ、固く…なってる…」
 彼女、いや、葵さんはそう囁きながら股間を指差す。

「あ…」

 その指先を見た僕は…
 驚きの声を漏らしてしまった。

 なぜなら…

 その指差した股間が…

 薄い黒いタイツを穿いている股間が…

 こんもりと、いや、モッコリと盛り上がっていたからである。


「あ、え?…」

 え、葵さんは…

 お、男なのか?…

 僕はそう驚き、そして、その盛り上がっている股間と、彼女、いや、葵さんの顔を、目を上下させながら見比べてしまう。

 肩までの黒い綺麗な黒髪…

 くっきりとした二重まぶたと、長いまつげのクリッとした瞳…

 スッと通った鼻筋のカタチ良い鼻…

 薄いピンク色に潤んだ魅惑的な唇…

 色白で、ツルツル肌の綺麗な頬…

 そして何よりも、それらが相まった美しい顔…

 つまり、とても中学三年生には見えないくらいの大人っぽい表情をした…

 美人で…

 綺麗な…

 お姉さん…

 いや、女性にしか見えないのである…






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