この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
花狂い
第6章 菜摘
翌日
公園の 桜の葉の色が濃い緑に変わって行くのを見て
約束の場所へ向かう
ギブスが外れ 腕がすこし細く成った気はするが
両腕が動かせるのは気持ちが良い
指定された店に入ると 明るい花柄のワンピースを着た
菜摘が 席に付いて紅茶を前に座って居た
高島が 前に座ると
「 済みません お休みの処 」
と頭を下げ 顔を上げると
高島の目を見つめた
目の奥に淫靡な光が見え
「 課長 今日夕方位までお時間有ります? 」
菜摘が聞いて来た
「 大丈夫ですよ 」
と答えると
「 此処では 話せ無いからドライブしません ?」
立ち上がり駐車場へ向かう
高島の車に乗り 菜摘の言われるように
走らせると 山間の公園の駐車場に止めさせられ
菜摘が シートとバスケットを車から降ろし
高島がバスケットを持つと
菜摘が公園から 山間に歩き出し
「 この辺はどうです 」
と菜摘が指した場所は
駐車場から死角の平たんな草地だった
シートを敷き 二人並んで座る
目の前には 街が眼下に広がり
周りは 丈の低い草花が 夏に向かって背を伸ばしている
景色を眺めていると
菜摘が口を開いた
「 主人浮気しているの・・・」
「 この間 若い娘と腕組んで ホテル街に
歩いてるの見てしまったんです 」
高島が 菜摘の顔を見る
菜摘の目に 諦めと怒りの光を見た
「 私、追いかけたんです・・・」
「 途中まで でも止めました・・・・」
顔を落とした
「 あの人 時々遊んでるのは知ってたんです 」
「 夫婦ですから・・・」
「 でも、目の前で見せられるのと違いますよね!!」
「 離婚して子供の親権取っても
子供に辛い思いさせるなって思って
家に帰ったんです 」
「 主人、何時も通り帰って来て
私が知ってるの知らないで
何時も通りに家に居るんです 」
「 私も 普段通りに話して・・・・」
「 でも、心で許せなくて・・・」