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花狂い
第6章 菜摘

翌日

公園の 桜の葉の色が濃い緑に変わって行くのを見て
約束の場所へ向かう 

ギブスが外れ 腕がすこし細く成った気はするが
両腕が動かせるのは気持ちが良い

指定された店に入ると 明るい花柄のワンピースを着た
菜摘が 席に付いて紅茶を前に座って居た 
高島が 前に座ると

「 済みません お休みの処 」
と頭を下げ 顔を上げると
高島の目を見つめた
目の奥に淫靡な光が見え 

「 課長 今日夕方位までお時間有ります? 」
菜摘が聞いて来た

「 大丈夫ですよ 」
と答えると

「 此処では 話せ無いからドライブしません ?」
立ち上がり駐車場へ向かう 

高島の車に乗り 菜摘の言われるように
走らせると 山間の公園の駐車場に止めさせられ 
菜摘が シートとバスケットを車から降ろし
高島がバスケットを持つと
菜摘が公園から 山間に歩き出し 

「 この辺はどうです 」
と菜摘が指した場所は
駐車場から死角の平たんな草地だった
シートを敷き 二人並んで座る

目の前には 街が眼下に広がり
周りは 丈の低い草花が 夏に向かって背を伸ばしている 
景色を眺めていると
菜摘が口を開いた

「 主人浮気しているの・・・」 

「 この間 若い娘と腕組んで ホテル街に
 歩いてるの見てしまったんです 」
高島が 菜摘の顔を見る
菜摘の目に 諦めと怒りの光を見た 

「 私、追いかけたんです・・・」

「 途中まで でも止めました・・・・」
顔を落とした

「 あの人 時々遊んでるのは知ってたんです 」

「 夫婦ですから・・・」

「 でも、目の前で見せられるのと違いますよね!!」

「 離婚して子供の親権取っても
 子供に辛い思いさせるなって思って
 家に帰ったんです 」

「 主人、何時も通り帰って来て
 私が知ってるの知らないで 
 何時も通りに家に居るんです 」

「 私も 普段通りに話して・・・・」

「 でも、心で許せなくて・・・」
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