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はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第1章 『夫婦円満本舗』
その後は…
正直…カッと頭に血が上ってしまっていて。
俺も…何をどうしたのか…分からなかったが。
施術室と呼ばれていた奥の部屋の…ドアを蹴破って。
美弥に圧し掛かっている茂木と言う男を、
美弥の身体から引き剥がすと、思い切りぶん殴っていた。
床の上にゴロゴロと、俺に殴られた勢いで
茂木と言う名の男が転がるのが視界に見えていた。
その先は…、記憶が曖昧で…。
気が付いたら、ビルの外に居て。
乱れた服の前を押さえている美弥の手を引いて。
そのまま、夫婦円満本舗を後にしていた。
美弥の目が赤くなって充血して居て
瞼が腫れていたので…、泣いていたのだろう。
それに…そんな風に泣いていたのなら、
さっきのアレは…美弥があの茂木とかと言う
男と俺を騙そうとしてした演技でも無さそうだった。
そのままとりあえず、1歩でも1メートルでも
あの店から離れたくて。どこに向かうでもなく
ズンズンと美弥の腕を引いたまま歩いた。
歩いている内に街並みが変わっていて。
あの店と距離が離れたと、感じた頃には…
俺の…気持ちも…少し…落ち着いて来て居て。
少し…考える余裕が…出来て来たようだ。