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千一夜
第61章 第八夜 island 真相の入り口
 普通なら、女はこう思うべきなのだ。
 待ち遠しい、あの大きなペニスが欲しい、お願いだから早く入れてください。
 はぁ~、私は心の中で何度もため息をついた。そしてあの大きなものに備える。こんなのってありなのだろうか。私と同じ思いの女性はこの世界にいないのだろうか。
 そのときふと、私の脳裏にある日の河田たちの同窓会(いつからか我が家が二次会の会場になっている)が蘇った。
「奥さんと池沢さん、申し訳ないがしばらく耳を塞いでてください。これから女性には不愉快な話をしますから」
 河田の友人が私と池沢にそう言った。
「構いませんよ。それを聞いたからと言ってみなさんをセクハラで訴えることはしませんから」 
 私は河田の友人にそう答えた。
 東大の卒業生は下ネタの話をするとき、私たち女にそう言ってから、二つに分かれて大激論を始める(生産的でない話でも彼らは絶対に手を抜かない)。
 そのときの議論はこうだった。男は大浴場で男性器をタオルで隠すべきなのか、それとも隠してはいけないのかという討論だった。
 もちろん私は河田がどう答えるのか気になった。河田はこう言った。
「隠すべきだ。他人のちんぽになんか興味がない。見たくないんだよあんなもの。それに厄介なんだよな、あれって。股間でぶらぶらしてるだろ? この中でそんなの見たいやついるか? いないよな? だから僕はいつも大声を出してこう言いたいんだ『それ、隠せよ』とな。それにだ、自分のものを同性に見せる趣味は僕にはない。自分のものを盗み見られるのも真っ平御免だ。僕のものを見る権利を有しているのは妻の麗子だけだ」
 河田がそう言うと、友人たち全員が「おおお、さすが愛妻家の河田だ」と言って唸った。
 かれこれ一時間、あの東京大学を卒業したエリートたちは、大浴場で己のいちもつを見せるべきか隠すべきかで盛り上がっていたのだ。
 思い出したら笑いが込み上げてきた。
「何が可笑しいんだ?」
「思い出したのよ」
「つまり思い出し笑い?」
「そう」
「何を思い出したんだ?」
「本当に東大卒の人間がこの国をリードしていっていいのかということ」
「その心配は無用だ」
「どうして?」
「東大を出た人間は、そんなやつらより利口だから」
「何だかめちゃくちゃむかつくんですけど」
「僕は正直に自分の意見を言ったまでだ」
「あっ、そうですか」
「ははは」
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