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第37章 秋桜（コスモス）の夢

　あの女であれば、さもあらんと賛は思った。苦界は書いて字の通り、女たちにとって苦しみに満ちた世界だ。借金のかたに働かされるだけ働かされ、身体を壊して病になっても、ろくに養生させて貰えない。




　陽の当たらぬ狭い布団部屋に押し込まれ、死を待つばかりだ。だが、松月楼の女将は、遊女を商品として扱わないという。そんな情を知る女将の下で働ける妓生たちは幸せ者だった。