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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第43章 傷痕
 チェソクの最期の言葉は〝幸せになれ〟だった。結局、ボクスはチェソクに自分の過去を語ることはなかった。だが、苦労人の彼はボクスが若くして背負った重荷を察していたに違いなかった。



 ボクスは代書屋を閉めた。既に七年もチェソクの片腕を務めていたから、そのまま営業もできたのに、ボクスは惜しげもなく店を畳んだ。顧客の中にはボクスの腕を惜しむ人もいた。




 ボクスは再び孤独になった。チェソクは実の身内ではなかったが、七年という月日はチェソクがボクスを息子だと言わしめたのと同様、ボクスもチェソクを父親のような存在だと認識し始めていた。
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