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第10章 再び春巡りて

　雪鈴はゆっくりと周囲を見回した。ピンクの姫貝細工が一面を埋め尽くしている。今が盛りのようだ。愛らしいピンクの花が絨毯のように咲き誇っている景観は圧倒されるほどの見事さだ。



　雪鈴はしばらく自然の織りなす奇跡のような風景に我を忘れて見入っていた。



　ふと深みのある声が隣で響き、我に返った。



「雪鈴も若い娘だな。やはり、こういうのが好きか？」